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会社を辞めるにあたって、ただ単に退職願・退職届を提出したら終わりというわけではありません。
実際に退職するには、会社からもらわなければならない書類と、返却しなければならないものがいくつかあります。
必要な書類がなければスムーズな転職ができません。
さらに、返却し忘れると会社に迷惑をかける恐れがあります。
特に初めての退職では、わからないことも多いでしょう。
そこで本記事では、退職時にもらう書類と返却すべきものについて解説します。
必要なものや手順も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
Contents
退職時にもらう書類は6つ
ケースによって異なる場合があるものの、退職する時にもらう書類は大きく6つあります。
- 雇用保険被保険者証
- 年金手帳
- 源泉徴収票
- 離職票
- 健康保険の資格喪失証明書
- 退職証明書
雇用保険被保険者証
雇用保険被保険者証は、在籍していた会社で雇用保険に加入していたことを証明する書類です。
転職するにあたって、転職先となる企業に雇用保険被保険者証を届けなければなりません。
一般的には会社側で保管されていますが、個人で保管するケースもあります。退職時に保管状況を確認してください。
もし、個人で保管している中で紛失した場合は、管轄のハローワークにて再発行してもらえます。
なお、雇用保険被保険者証の再発行手数料は無料ですが、郵送を希望する場合は切手代がかかることに留意してください。
年金手帳
年金手帳は、再就職時の年金手続きで提示しなければならない書類です。
なお、年金手帳は2022年4月に廃止されており、現在は「基礎年金番号通知書」に変更されています。
会社で保管しているなら、退職時にいずれかを受け取ってください。
個人で保管しており紛失した場合は、いずれも基礎年金番号通知書として再発行が可能です。
再発行手数料はかかりません。
源泉徴収票
源泉徴収票は、1年間に受け取った給与・賞与の他、納付した所得税が記載されています。
一般的には、12月の給与明細と同時に発行されます。
しかし、会社によっては発行時期が異なる場合があります。必ず確認しておいてください。
なお源泉徴収票は、転職先の会社での年末調整に求められますので、忘れずにもらいましょう。
離職票
離職票は、失業手当を受け取る際に必要な書類です。
ただし、すでに転職先が決まっており、退職後すぐに働くなら必要ありません。
退職から再就職まで時間がある場合は、離職票がないと失業手当を受け取れないので注意してください。
なお、離職票は希望しないと発行されないのが留意点です。
離職票の発行まで少し時間がかかるため、後日郵送されるのが一般的です。
健康保険の資格喪失証明書
健康保険の資格喪失証明書は、転職後の健康保険加入時に必要な書類です。
職を辞めた日の翌日から社会保険の資格を失うためです。
- 転職先の会社で社会保険に加入する
- 退職後国民健康保険に切り替える
いずれの場合も、健康保険の資格喪失証明書が必要になります。
発行までに時間がかかるため、退職時に受け取るのではなく後日郵送されるのが一般的です。
ただし、国民健康保険に切り替える場合は、退職日から14日以内に加入手続きをしなければなりません。
退職時に国民健康保険に切り替えることを伝えて、早めに郵送してもらえるようにしておくといいでしょう。
退職証明書
退職証明書は、前の会社に在籍しており退職したことを証明する書類です。
転職先の企業から提出してほしいと言われた場合や、年金や国民健康保険の手続きに必要になります。
ただし、申請しなければ発行してもらえません。
必要な場合は申請し忘れないように注意してください。
なお、退職から2年以内なら後日でも発行してもらえます。
退職時に会社へ返却するもの
退職時には、会社に返却しなければならないものがいくつかあります。
- 社員証
- 健康保険被保険者証(保険証)
- 通勤定期券
- その他
返却し忘れると退職手続きに影響する場合があるので注意してください。それぞれに詳しく見ていきましょう。
社員証
社員証は、会社の社員であることを証明するために、会社から社員に貸与されるものです。
退職後は必要なくなるため、忘れずに返却してください。
会社によっては、ICカードが内蔵されたセキュリティキーとして使用する場合もあります。
紛失すると弁償しなければならないケースもあるため、退職時に返却しておきましょう。
健康保険被保険者証(保険証)
健康保険証は、退職と同時に効力は失効します。持っていても使えないため、5日以内に返却してください。
なお、退職日に通院の予定がある場合は、当日中なら健康保険が適用されます。
翌日以降も継続して通院する場合は、他の保険に加入しないと全額自己負担になるので注意しましょう。
仮に、退職日以降も健康保険証を使えたとしても、資格喪失後受診となるため、後日保険組合は医療費返還請求を行います。
通勤定期券
通勤定期券については、就業規則によって扱いが異なります。
- 通勤手当が一律の場合:月の途中に退社しても返却しなくていい
- 出勤日数で決まる場合:出勤した日数分以外は返却
なお、割安になることから数カ月分の定期券を購入するケースもあります。
公共交通機関で払い戻しは、1ヶ月以上残っている場合のみです。
就業規則に日割りで精算する旨が記載されている場合は、残りの分を返却しなければなりません。
その他
その他に返却すべきなのは、以下があります。
- 制服
- 名刺
- 文具
- PC
- 社用携帯
- 書籍
- データなど業務に関わるもの
会社が社員に貸与するものは、業務に必要なものでありすべて会社に所有権があります。ボールペンやメモなどの備品も対象です。
PCや携帯に私用のデータが含まれる場合は、私用データを削除してから返却します。
うっかり返却し忘れると、業務上横領罪に問われる恐れがあるので注意しましょう。
社内融資やローンは一括返済しなければならない
会社に在籍中、社内融資やローンを利用しており残債務がある場合は、退職時に一括返済しなければなりません。
福利厚生の一環である「提携社員ローン」は、金利が安いのが魅力です。
しかし退職すればその会社の社員ではなくなるため、利用できなくなります。
残債務が多く一括返済が難しい場合は、金融機関に借り入れが可能か相談してください。
なお、「財形住宅貯蓄」は原則退職時に解約ですが、転職先に同制度があれば継続できるケースがあります。
退職後に行う6つの手続き
退職時にもらう書類の受け取りと返却を済ませたら、次は以下に紹介する6つの手続きを行います。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
- 住民税の手続き
- 失業保険の申請
- 年金手続き
- 健康保険の切り替え手続き
- 退職後年内に再就職しない場合は確定申告が必要
- 離職期間が長い場合は市町村で手続きが必要
住民税の手続き
住民税の手続きは、退職時で異なります。
- 退職の翌日に入社
- 退職から1ヶ月以内に転職
- 退職後1ヶ月以上離職期間がある
上記3つのパターンでそれぞれに見ていきましょう。
まず、退職日の翌日に入社の場合は、必要な書類を提出すれば、会社が手続きを代行します。
退職から1ヶ月以内に転職するケースでは、入社後に支払うか、給料から天引きされるかのいずれか。
なお、給料から天引きを選択する場合は、手続きが必要になります。
手続きをしない場合は、普通徴収となるので納付書で支払いになることに留意してください。
退職日から1ヶ月以上離職期間があるケースでは、退職のタイミングで扱いが変わります。
- 1月~5月に退職:最終給与から一括で天引きされるため手続き不要
- 6月~12月に退職:最終給与から翌年5月までの分を一括で天引き
なお、退職時期が6〜12月のケースでは、3ヶ月ごとに自分で支払うという選択肢もあります。
失業保険の申請
失業保険は申請しなければもらえません。
失業保険を受け取りたいなら、離職票を受け取ってすぐに申請することをおすすめします。
申請は管轄のハローワークで行いますが、以下の条件を満たしていないと受け取れないので注意が必要です。
- ハローワークで求職の申込みをしている
- 雇用保険加入期間が通算12ヶ月以上である
- 失業状態である
なお、申請時には以下の書類を用意します。
- 雇用保険被保険者証
- 離職票-1(被保険者資格喪失届)
- 離職票-2(被保険者離職証明書)
- 身分証明書
- 本人名義の普通預金通帳
- 印鑑
- 縦3cm×横2.5cmの写真(直近3ヶ月以内に撮影したもの)
失業保険を受け取るには、「雇用保険受給説明会」に参加しなければなりません。
その際に、初回認定日(失業保険を受け取れる日)が記載された「失業認定申告書」が配布されます。
なお、認定日はハローワークが決めるため、変更できません。
初回は1週間程度、以降は4週間に一度申請と面談を行った後に給付されます。
年金手続き
退職後、国民年金に切り替える場合は、退職日から14日以内に手続きを済ませなければなりません。
手続きの際は、以下の書類が必要です。
- 基礎年金番号orマイナンバーが記載された書類
- 退職日が記載された書類(離職票or退職証明書)
- 印鑑
退職日の翌日入社するケースでは、基礎年金番号または、マイナンバーを会社に提出すれば手続き不要です。
健康保険の切り替え手続き
健康保険の切り替え手続きは、保険の種類によって手続き方法が異なります。退職日翌日から失効するので、早めに手続きを済ませましょう。
保険の種類 | 手続き | 注意事項 |
---|---|---|
前の会社から任意継続 | 退職日の翌日から20日以内に健康保険組合へ申請する | 継続できるのは最長2年 以降の保険を検討する必要がある |
転職先の健康保険 | 転職先の会社で保険証を発行してもらう | 発行まで1~3週間かかるため その間医療機関にかかる場合は、健康保険被保険者資格証明書を発行してもらう |
国民健康保険に加入 | 退職日の翌日から14日間以内に役所で手続きを済ませる 例 2024年4月10日に退職なら、2024年4月24日までに手続きを済ませる | 健康保険の資格喪失証明書が必要になる |
家族の扶養 | 退職日の翌日から14日間以内に役所で手続きする 例 2024年4月10日に退職なら、2024年4月24日までに手続きを済ませる | 扶養者の会社から求められた必要書類を準備し提出する |
加入する保険によって手続きまでの期限が異なるため、事前に確認してください。
退職後年内に再就職しない場合は確定申告が必要
年内に再就職しない場合は確定申告が必要です。
確定申告には、源泉徴収票が必要になるので用意しておきましょう。
退職した翌年の2月16日〜3月15日までに、管轄の税務署に提出してください。
離職期間が長い場合は市町村で手続きが必要
離職期間が長くなるなら、市町村での手続きが必要です。
手続きしないままでは健康保険が使えないため、医療機関を受診する際の医療費が全額自己負担になるので注意しましょう。
離職期間が長くなる場合は、国民健康保険や家族の扶養などいずれかの手続きをしておくと安心です。
会社から退職時に必要な書類をもらえない時の対処法
各種手続きに必要な書類でも、退職後すぐに発行できないものもあります。
必要な書類が届かない場合は、会社に問い合わせてください。
問い合わせても届かない場合は、各機関に連絡して対処してもらいましょう。
書類 | 問い合わせ先 |
---|---|
健康保険資格喪失証明書 | 市町村の窓口 |
年金手帳・基礎年金番号通知書 | 年金事務所 |
離職票 | ハローワーク |
雇用保険被保険者証 | ハローワーク |
源泉徴収票 | 税務署 |
退職代行会社を利用しているなら、代行会社に依頼すれば確認してもらえます。
まとめ:退職時にもらう書類を把握してスムーズに退職手続きを進めよう
退職時は、退職願・退職届以外にもさまざまな手続きが必要です。
転職先に提出しなければならない、重要な書類もあります。
退職時にもらう書類を把握できていれば、退職手続きをスムーズに進められるでしょう。
退職を検討されている方は、本記事を参考にしながら、必要な準備や手続きを進めてください。